2012年03月09日

SSP No.2 M60Newナンブ 上

 SSP No.2 M60Newナンブ 上
今回は、警察等で使用されています、NewナンブM60について上です。
 近年、我が国において非合法的に武器やけん銃を所持している人間が多数存在している事が問題になっています。さらに、実際に銃器を使用した痛ましい事件も多数発生しています。まるで銃社会アメリカ(USA)のようです。
 アメリカ(USA)や諸外国のようないわゆる銃社会では、けん銃が簡単に手にはいりますが、全て法律に従い、更には登録制度が有る為に犯罪後の捜査や検挙の端緒となりやすい事が挙げられます。
 ただし、登録制度そのものは完璧なものではありません。多くの抜け穴が存在するのも事実です。例えば、日本国内にも多くの自称シューターが存在します。彼らは良く「私の所有している銃は」とか「いつも携行しているのは」といっていますが、法的に非常にグレーな部分を感じます。それは、アメリカであれば所持や携行するにはグリーンカードまたはアメリカ国籍、正式なビザを取得していることなど、多くの条件があるのですが、その条件が満たされているとは思えないからです。
さらには、登録を逃れて非合法に出回っている銃も多く存在します。
それでも、登録制を行っているために犯罪捜査を行う上では非常に有効的な事は確かです。それは、登録されている正規の銃の方がやはり多い事と、その登録状況から捜査を行う事ができる為です。
それに対して我が国では一般的に所持が非合法であるがゆえに闇に隠れてしまうので非常に困難であるのが現状です。
日本において銃に対しては、非常に特異的な部分が存在するのは確かです。
それは、銃に対する規制が非常に高いため、玩具としてのモデルガンやエアーソフトガンが多数販売されている事です。世界的に見てもこれほど多くの模造銃が玩具と販売されて国は無いのではないでしょうか? 形だけでなく機構までも実銃にそっくりな製品もあります。事実知り合いのアメリカ人は見てもほとんど区別がつきませんでした。闇に沈む非合法な銃と社会に出回る大量のトイガン。日本の特異性が見えます。
トイガンといっても100%安全とはいえません。エア-ソフトガンは銃口から物(BB弾)が飛び出すわけですから、もう少し安全管理や取り扱いについて徹底すべきでは無いかと思います。PL 法で商品に対してだけ気を付けるのではなく、その使用方法や安全管理についても企業をはじめ多くのシューターは考えるべきではないかと最近つくづく感じます。
さて、前置きはさておき、本題に入りましょう。
世界の様々な銃、特にけん銃に関してレポートを見ることが有りますが、今回取り上げるニューナンブM60 については、官公庁のそれも司法警察職員しか撃つことも触ることも出来無いために、これまで射撃に対してのレポートは皆無といってもよいと思います。灯台下暗しではありますが、そもそもレポーターがいないのだから仕方の無い事かもしれません。
 勿論設計、販売している新中央工業(ミネベア)における一部の職員は民間人で唯一手に触れることの出来る方々ですが、撃つのは試験をする時ぐらいのため書けてもレポートには不十分でもありますし、製造側でもあるためにレポートを公に発するのは難しいと思います。
 そこで業界では初といっても過言ではないと思いますが、今回本職が扱った範囲内で主に射撃に関してお話ししたいと思います。
日本国内において銃器、特にけん銃を扱う事、すなわち射撃や銃を携行する事が出来る人は、合法的には警察官「ローエンフォースメント」(特別司法警察官(員)を含む)及び加えて特異的には自衛官です。

本職が在職した海上保安庁では、1948 年に武器の使用について警察官職務執行法の準用を受け、けん銃装備を開始しました。
本職が始めて触れた武器は、本職も特別司法警察官(員)でしたから、けん銃が初めてです。勿論そのけん銃はニューナンブM60 でした。
海上保安庁では、旧日本軍が使用していた通称「南部14 年式けん銃」を使用していました。そのほか米軍等連合国が使用していた「ブローニングハイパワー」が支給され、使用していました。その後回転式けん銃のS&Wリボルバーを使用して行くこととなるのです。
しかし、それぞれ口径が異なり、また老朽化も進んだため、1960 年全国の取締り官庁で制式採用されたニューナンブM60 が採用される事となりました。
ニューナンブM60 は新中央工業(ミネベア)がS&WのJフレームリボルバーを手本にし、小柄な日本人向けに開発したけん銃です。
初期型はブルーメタル仕様(光沢のある仕上げ加工)、その後パーカライジング仕様(艶消し仕上げ加工)となりました。
外見的にはグリップの短い初期型とグリップを延長した後期型の2種類に大別でき、38 口径、銃身長は3インチ、弾倉容量5発、照星照門は固定式です。初期型のグリップは赤茶艶有り、後期型はコゲ茶艶消しで底部前面が延長されて小指が掛けやすくなりました。
使用弾薬は一般的に38 スペシャル(以下38SP)として知られるリボルバー用の弾薬です。
グリップに使用されている素材はプラスチック製です。最近多くの外国の銃メーカー等がグリップ力の高いラバー製を販売しています。また握りをよくするための大型の木製グリップも販売されていますが、いずれもの物も形状が合わないために使用する事ができませんでした。
ニューナンブM60 は全てにおいて言えるのですが、特に初期型の艶のある銃は撃鉄(ハンマー)を収めた状態(一般的には「倒れた状態」と表現するようですが官庁ではこのような表現方法を使います)では撃鉄(ハンマー)の指架け部分(スパー)が邪魔になって照門も照星も見えず見通せないので使用時には注意を要します。
すなわち、撃鉄を起こし易くすることだけを考えてか、撃鉄の形状自体が大きいためです。シングルアクションで撃つ事のみを目的として設計されたとしか思えません。
さらに付け加えると、銃軸線は可能な限り平行に保つ事で、銃軸線と射撃線が一致しやすくなり、容易に正確な射撃を行なう事が可能となるのですが、ニューナンブM60の場合は、照準を行なうとき若干無理な角度で射撃をする為に手首に負担が掛かる。
更には安全管理上(銃口を常に安全な方向に向ける。更にはサイトを使用しないで緊急時などに射撃をする時に正確且つ安全な射撃が困難です。)問題があると思います。
更にこの照星も照門観にくい事から良く警察官はシングルアクションでしか射撃をしないと噂されていますが、しかし、警察官はシングルアクションのみで射撃しているのではありません。
シングルアクションは、射撃訓練や検定時には高い点数を目指す点数射撃です。
その為遅撃ち等のより命中精度を求める場合はシングルアクションで射撃しますが、早撃ち等や緊急を要する場合は、勿論ダブルアクションでの射撃を行ないますし、実際に射撃訓練も行ないます。
リボルバーの安全装置的要素としてダブルアクション時に引き金の引きが長く、重いことが知られています。従って、当然ニューナンブM60 も射撃手法や検定時、更には緊急時にはダブルアクションで射撃を行います。ただ、照星、照門が見通す事ができないので、引き金を絞りながら、照星、照門が見通す事が出来たと同時に照準を替えて射撃しなければならないのです。この難しさは皆さんもお持ちのエアガンのハンマーにリアサイトが隠れるくらいの目隠しをつけて引き金を引いてみるとよく理解できると思います。
ダブルアクションで射撃する場合、その基本は一気に有る一定の所(撃鉄が落ちる寸前)まで絞り込みその後静かに絞り込んで撃発させることです。
ニューナンブのモデルとなっているS&W 社のリボルバーは非常にスムーズに引き金を絞り、撃鉄が落ちる寸前で緩やかに止め、さらに絞り込み撃鉄を落とし、撃発させることが出来ます。言葉にすると「スー、ピタ、スー、トン」という感じで、実にスムーズです。
ところが、それを手本としたはずのニューナンブの場合は、バネと各パーツとのかみ合わせが問題なのか、はたまた、そこまで考えられていないのか、「ズ~~、ギィ、ガリ、バン」という感じです。
このように照星、照門に加え、引き金においても非常にストレスを感じる銃でした。
諸外国では、動きや部品、更には銃の構造について比較的簡単にチューンされて純正部品と簡単に交換出来る物がそろっており、入手するのも簡単ですが、法律の壁や銃の製造や部品入手等に多くの壁があり、国内では非常に難しいのが現状です。
しかし、国内ではこの銃しかないわけですし、改造などは法的に問題外!使い続けていくうちにこの感覚になれ、命中精度を上げ、好成績を上げる事も可能に成っていきました。いやはや慣れとは恐ろしいものです。
銃に使用される弾薬(カートリッジ)には規格があります。主として米国の規格なのですが、火薬量や弾頭重量など細かく規定し、銃に使用する弾薬も安全性を考えています。銃に対して使用してよい弾薬を銃メーカーと弾薬メーカーとできちんと決めてあるため、万が一その弾薬を使用して銃が壊れた場合は完全な保証がしてもらえます。ところが日本ではほぼ1社が独占で製造しており、しかもその弾薬はこの規格に適合していません。
そのため、国産の弾薬は日本製の銃にしか使用出来ないということも実を言うと有るのです。さらにこの弾薬を規定外に使用して発生した故障は保証されないので注意が必要です。
国内では、38SP 弾薬には、訓練弾(鉛弾頭)と執行弾(FMJ 弾頭を胴でコーティング)とが有ります。これは弾薬の値段が異なるのと人的被害を考えて使い分けています。
最近諸外国を始め殆どの国で使用されている弾薬では環境問題を考慮して鉛の使用を禁じています。
さらに予算の削減を考慮し使用薬莢を回収し、再利用しています。
弾薬については、諸外国では様々な物が開発されています。しかし、国産においてはまだまだ、世界に追いついていないのが現状です。
これについても、おいおい述べていきます。
さて、では実際のニューナンブM60 の射撃とはどんなものだったのか。
海保では、今では様々な知識を得ることが出来ましたので、射撃姿勢はより実戦に近い状態での姿勢(標的に対して正対し、体重も少し前よりにするアササリーやウイバースタンスを採用)や両手把持(はじ)などを行います。
しかしかなり長い期間、射撃姿勢については典型的な標的射撃の構えでした。すなわち標的に対して右15°程度に身体を開き、体重は左足に掛け、左手はズボンのポケットに入れて行う構えです。
 射撃も時間撃ち(5分、1分、数十秒間に5発+空撃ち1回行いブルズアイ標的に射撃)で点数を競うものと応用射撃という形で、隠れ撃ち、腰撃ち、高撃ち等剣道のように型があり、「実戦ではどうでしょうか?」と言うような射撃姿勢が有りました。
射場については、現在では厳しく規定があり、その一例として、バックストップの形状や射座以外の部分は兆弾等を考慮して基本的には砂等を使用することと成っています。
 室内で行う場合、規定された距離(約25mでの検定や点数射撃)で行う場合は良いのですが、近年採用している戦術的射撃(CQB 等)の場合、様々な射距離や動きながらの射撃が必要となってきます。これまでは砂地でしたが、砂地のままだと手入れや薬莢等の回収が困難なだけでなく、移動もしにくく、訓練の安全性に問題が発生しました。そのため、最近新たに設計される射場(海上保安庁の場合保有数が少ないのですが)は、砂を引き詰めた上に人工芝で覆う方法を取っています。
この方法を取ることで、移動しながらの射撃やより実戦に近い状態での射撃が可能となり、さらなるレベルアップを図ることが可能となっています。
特に最近配備された自動けん銃を使用しての射撃や動きには不可欠ですが、自動けん銃については別の機会に記述したいと思います。
射撃検定等ではホルスターを使用して行います。
全て号令に対して決まった構えや動きが有り、その通りにしなくてはなりません。
ます。
 全ての動きや行動は、号令で行なわれ、各射手が射撃線に列んで号令により銃を把持し、号令で弾を込めて、号令で射撃を開始します。
 基本は、銃口の向きと角度です。
 屋外の場合は、射撃線に長テーブル等を置き、そこに弾倉を開いた状態で尚かつ銃口を標的の方向に向けた状態でけん銃を配置します。
 そこに号令で各射手が並び、号令で銃を把持し、号令で弾を込めて、号令で射撃を開始します。射撃終了後も号令で空薬莢を抜き取り、銃を元の状態に置いて射撃は終了するというものでした。
 下につづく




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Posted by 特殊作戦群区  at 13:58 │セカンドサイトピクチャー